知財スキル標準の活用

 一口に「知財」と言っても、特許、意匠、商標、ノウハウといった保護対象の多様性、権利化、先行技術調査、侵害調査、交渉、ライセンス、訴訟、事業への貢献のための知財戦略の立案等といった知財業務の多様性から、必要とされるスキルの内容及びそのレベルは多岐に渡っています。そのため企業内で知財人材の育成をどのようにしたらよいかお困りの方も少なくないものと思われます。
 そこで、今回は、企業内の知財人材育成のための「知財スキル標準」の活用をご紹介いたします。「知財スキル標準」とは、企業における知的財産の創造・保護・活用に関する業務に必要とされる、知的財産に関する能力を明確化・体系化した指標です。平成19年に最初の版が経済産業省により作成され、平成29年に特許庁によりversion2.0への改訂が行われました。

 「知財スキル標準」の概要を説明致しますと、以下のように、知財の戦略業務を「IPランドスケープ」、「知財ポートフォリオマネジメント」、「オープン&クローズ戦略」、「組織デザイン」の4つに、知財の実行業務を54に細分化し、各業務についてスキルカードを定めたものです。スキルカードには、具体的な身につけるべきスキルの内容が示されています。

<知財スキル標準フレームワーク>

出典:特許庁HP「知財スキル標準version2.0 取扱説明書」

そして、「知財スキル標準」の基本的な使い方としては、以下のように、まず①自社の知財業務の現状把握、②自社の知財戦略の確認、③自社に必要な業務の抽出、④抽出した業務のスキルカードの適用を行います。

<「知財スキル標準」導入のステップ>

出典:特許庁HP「知財スキル標準version2.0 取扱説明書」


 実際には各社の状況に応じて必要な知財スキルは異なるため、スキルカードの内容のカスタマイズの必要もあるとは思いますが、「知財スキル標準」は非常に体系化されており、知財人材育成ツールのたたき台としての利用価値は十分に高いものと思われます。
 この「知財スキル標準」の詳細につきましては、特許庁ホームページ(https://www.jpo.go.jp/sesaku/kigyo_chizai/files/chizai_skill_ver_2_0/check_sheet.pdf)でマニュアルが公開されておりますのでそちらをご参照頂ければと思います。

弁理士 栗山 幸介